かせつのはきだめ

かせつは仮設であり、仮説でもある。

Kamalaさんのマハーバーラタ

こんばんは。入口です。 今日も修論を書きに大学に行って、バイトにちょこっと行って、家に帰ってからいつも通りマハーバーラタを読んでいました。最近本を読み過ぎ買いすぎですが、マハーバーラタ関連の本を集めたいという欲望は収まらないです。仕方ないヤツだなあ私は! 今日のマハーバーラタ充はKamalaさんのマハーバーラタでした。

Mahabharata Mahabharata
(2007/01)
Kamala Subramaniam

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Kamalaさんのマハーバーラタ(と私が勝手に呼んでいる)は英語によるマハーバーラタ要約の一つです。分かりやすい英語でなおかつパーンダヴァが可愛く描かれているのでお気に入りなのです。どのキャラクターに対しても同情的に書かれているのでどの英雄が好きな人でも読んでて嫌な思いはしないかな、と思います。ちょこちょことKamalaさんによるオリジナルにはない解釈やシーンが入っていますが、それも気になる程ではないです(気にする人は気にするかもしれないけど) 大事なことなのでもう一度申し上げますがKamalaさんのマハーバーラタはパーンダヴァが可愛いんですよ。特にユディシュティラとアルジュナが!!ということでKamalaさんのマハーバラタにだけ出てくる、アルジュナが可愛いシーンを一つだけ紹介しますね。 ヴィラータの章の最後、ウッタラ王子とともにクル族の軍隊を打ち破って凱旋したアルジュナは、ヴィラータ王の側に仕えるユディシュティラの様子をみようと王の部屋をのぞきこもうとします。ユディシュティラはアルジュナのことに気付いたようですが、彼と顔を合わせようとしません。 (以下引用 p361より)

This was causing him a lot of unhappiness. Arjuna thought of winning a smile of sly mischief from his brother. He could not rest until he knew the real reason for his behaviour. Arjuna went to Bheema and asked him: "Why is Yudhishthira different? He does not look at me with affection as he used to. Is he angry with me because I fought with the Kauravas? I had to". (訳) そのこと(ユディシュティラがアルジュナと顔を合わせようとしなかったこと)は彼(アルジュナ)をとても不幸な気分にしました。アルジュナは彼の兄からいたずらな笑みを浮かべられたと思いました。彼はユディシュティラの振る舞いの本当の理由を知るまで気持ちを休めることができませんでした。アルジュナはビーマの元に行って尋ねました。「ユディシュティラの様子がちがっていたのは何故だろうか?彼はかつてそうしていたように私を愛情込めて見なかった。彼は私がカウラヴァと戦ったことを怒っているのだろうか?私はそうしなければならなかったのに」

…訳下手糞だな私…。(He thought…のセンテンスは全く自信ない) Kamalaさんのマハーバーラタにおいては、アルジュナは兄思いの優しい弟としての面が濃く描かれているような気がします。ユディシュティラの様子がおかしいことを読み取って『ユディシュティラを怒らせてしまったのだろうか?』と悩むアルジュナが本当にいじらしい。アルジュナの兄への忠実さは、私がアルジュナのことを好きな理由の一つでもありますが、だからこそアルジュナのことが心配になることもあるのです…。この話はまたいつか出来たら良いなと思いますが。 さて、その後アルジュナとビーマはユディシュティラの元に向かいます。3人だけの部屋でユディシュティラは先程とは打って変わってアルジュナを抱きしめて優しく出迎えます。二人はユディシュティラの顔が傷つけられているのを見て『誰がそんなことをしたのか』と尋ねるかのようにユディシュティラを見ます。 ユディシュティラが傷つけられた理由は原典の通りです。ユディシュティラが余りにもブリハンナラ(アルジュナの偽名)のことをほめるもんだからヴィラータ王が怒ってユディシュティラにサイコロをぶつけたんです。ビーマとアルジュナにそれを説明すると、二人は怒ってヴィラータ王を殺そうとします。 原典の方ではアルジュナとユディシュティラがこの時点で顔を合わせることはないのでこれもKamalaさんマハーバーラタだけに出てくる場面なのですが、この兄弟は人の命をなんだと思ってやがるんだ!と説教してやりたくなりましたよ。まああの叙事詩においてはクシャトリアというのは人を殺してナンボの職業なので、仕方ないといえば仕方ないのですが。ははは。 まあ、いろいろと書きましたが、このKamalaさんのマハーバーラタはなかなかよいマハーバーラタ本だと思います!英語ですが易しい単語と表現しか使われてないので大丈夫です!(ただし固有名詞を説明なしにたくさん使ってるのが難しいかも) それでは、長くなりましたがこれにて失礼します。おやすみなさい。