かせつのはきだめ

かせつは仮設であり、仮説でもある。

「ビモのおにたいじ」を読み直す。

こんにちは! 今日は眼科に行ってハードコンタクトレンズを買ってきましたよ。初めて目に入れた時は違和感がひどかったのですが、今日一日でかなり慣れてきたと思います。きちんと手入れをして大切に使おう・・・。 さて、最近図書館で『ビモのおにたいじ』という絵本を借りてきました。 『ビモのおにたいじ』はインドネシアの影絵人形『ワヤン・クリ』の人形芝居を元に描かれた絵本です。インドネシアの影絵は『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』を題材として用いており、『ビモのおにたいじ』もマハーバーラタのエピソードの一つです。ってかビモ=ビーマなので完全にマハーバーラタそのものなんですが(笑)とは言え原典のマハーバーラタのエピソードそのままというわけではなくて、インドネシア版にしかないオリジナルのアレンジもなされています。それが最もよく現れているのはユディシュティラの名前に関するところでしょう。この前東京国立博物館で買った『ワヤン-インドネシアの人形芝居-』によると、インドネシア版のマハーバーラタにおいて、ユディシュティラのインドネシア風の読み方である『ユディスティロ』は彼が王として即位してから名乗る名前だということになっているのです。『ビモのおにたいじ』は五王子が祖国を追われて母クンティーと共に放浪している頃のお話なので、当然ユディシュティラはまだ王になっていません。そのため『ビモのおにたいじ』の中で彼は『プントデヴォ』と名乗っています。ちなみにほかの兄弟はユディシュティラのような名前の変化がなくてインドネシア風の発音に変わったくらいです。参考までにまとめておくと、 ユディシュティラ=プントデヴォ ビーマ=ビモ アルジュナ=アルジュノ ナクラ=ナクロ サハデーヴァ=サデヴォ とまあ、大まかに言ってしまえばサンスクリットでは「あ」と発音されていたところが「お」に変わってるのです。当然それだけではないのですが、インドネシアマハーバーラタのことはよく分からないので雑な説明で済ませます(笑) さて、ここからいよいよ『ビモのおにたいじ』の内容に触れていきますが、今回は内容の紹介をするのではなくてこの『ビモのおにたいじ』を読んでみて私が気づいたことや突っ込みたいことなどをひたすらメモして記録していくようにしたいと思います。要するにここから先は私自身のための記録です。従って意味が分からなかったり分かりにくかったりするかもしれませんがお許しください。斜体の文章は『ビモのおにたいじ』からの引用です。 『マナヒラン国のある村に、6人のみなれない人がやってきました。』 という語りで始まる『ビモのおにたいじ』。まずは登場人物の紹介ですよ!我がアイドルたるプントデヴォは当然センターですよ、当然ですけど。ナクロとサデヴォは全く見分けがつきません。ナクロとサデヴォを区別出来る要素はおそらく「ナクロの方がまつげが長い!」しかないと思います。本物のワヤン・クリではどう区別してるんだろうか。 『パンドゥ王がなくなって、その兄のダストロストロが、アスティノ国の王さまになりました。』 パンドゥがフツーに宮殿で死んでるっ!こりゃあマードリーが居ないことになってるのか?まあこの絵本は子供向けなのでインド版通りに性交したら死ぬという呪いをかけられたパーンドゥがマードリーと交わろうとして死んだなんて書けないからこうしてるだけなのかもしれませんが。しかしクンティに抱きしめられてるサデヴォ(と思われる登場人物)かわいい。クンティーの一番のお気に入りはサハデーヴァだっていうのがさりげなく描かれててちょっとニヤニヤ。 『おどろいたことに、ダストロストロ王には、99人の王子とひとりの王女がいました。この子どもたちは、クルという祖先の名をとって、コラワ百王子とよばれ、いちばん上の王子は、クルパティといいました。』 99人の王子なのにコラワ百王子・・・だれがハブられたんだろう。ユユツ?いやユユツは元々カウラヴァ百王子としてカウントしないはずだし・・・うーん。とかなんとか言いながら絵本の絵を眺めてるんだけど誰が誰だかさっぱり分からん。そしてこのページには恐らく滅多に見ることが出来ないであろう『顔の正面から描かれた人物』が出てくるぞ。なんか変な感じ。クルパティ=ドゥルヨーダナだよね。彼も王になるから今後名前が変わるんだな。 『パンダワ5王子は、お母さんといっしょに、アスティノ国をすて、あんぜんにくらせる国をさがしにでかけました。』 安息の地を求めてさまようパーンダヴァとか!萌え!・・・というのはさておいてプントデヴォが見切れてるのがすっげえ気になるんですけど! 『いちばん大きなからだをして、弟のナクロとサデヴォを左と右の肩にせおって歩いているビモをみて、お母さんが言いました。』 ビモのたくましさはインド版と同じだな!この『ビモのおにたいじ』はタイトル通りビモが主役なのでほかの兄弟は全く目立ってないのですが、ここではサデヴォ以外の兄弟が一言ずつしゃべっています。 『まもなく、みんなは、あるお坊さんの家につきました。』 というわけでパンダワ5兄弟とクンティは一晩泊めてくれる家を見つけてその家の若者イラワンとそのお母さんと一緒に夕食をごちそうになります。いいねえ家族団らんって! で、その後みんなが眠ってしまった後に、ビモはだれかが騒ぐ声で目を覚まします。このシーンの絵で何が感動的かと言われたらパンダワ5兄弟がベッドで寝ている!ということですよ。ちなみにベッドは二つあって手前のベッドにはクンティと双子が、奥のベッドにはプントデヴォとアルジュノが寝ています。アルジュノちょっとそこ代われ。そしてビモは一体何処で寝ていたのだ・・・。 『わたしは、あなたなしでは生きていられません。だからといって、この子を死なせるわけにはいきませんわ。わたしのたったひとりの息子ですもの。』 この『ビモのおにたいじ』はインド版マハーバーラタのバカ殺しのエピソードに対応するようです。ダウォコと言う恐ろしい鬼が村人たちに対して定期的に生贄を求め、とうとうパンダワが泊めてもらった家の家族が生贄とならねばならなくなって悲しみに暮れる家族の声をビモが聞きつけて、ビモがダウォコを退治しに行く、という。 そしてここから先はビモの独壇場です。他のパンダワは最後の最後にモブのごとくでてきます。ビモの武器は長くて鋭い爪だそうだ。最後はその爪でダウォコの胸を突いて殺します。村を長いこと悩ませていた鬼が死んでめでたしめでたし・・・という結末です。 とりあえずわたしが気になったところはこんな感じでしょうか。インドネシアマハーバーラタについては松本亮氏が沢山本を書いてらっしゃるようなのでこれから読んでいくつもり